Apple製品はアメリカのものなので,当然,ドル円に連動するんじゃない?
はい。ぼくもそう思います。
でも,そんな当たり前のようなことでも「データで確かめよう」というのがこの記事の趣旨です。
結論としては,
- 販売価格の実質ドル円(=日本価格/米国価格)はドル円に連動
- 実質ドル円は発売日より少し前のドル円に近い
ただし「Xヶ月前と近い」と決まっているわけではない
という,しごく真っ当なものでした。
以下では,このことについて詳しく見ていきます。Apple製品購入を検討する際の一助としていただければ幸いです。
この記事の前提
この記事で明らかにすること
Apple製品(MacBook Pro, MacBook Air, iPhone)の日本販売価格がドル円相場でどのように変動するかを明らかにします。
アメリカの販売価格と日本の販売価格を比べて,どの程度ドル円と連動しているかを見ていきます。
前提
この記事では,それぞれ以下の製品を対象とします。
MacBook Pro:13インチ最上位モデル(カスタマイズなし)
MacBook Air:13インチ最上位モデル(カスタマイズなし)
iPhone:ストレージ最小モデル
また,本記事の調査対象期間は2014年から2020年とします。
MacBook Proの場合
モデルなど 大体の※1発売日 | 日本価格 (税別) | 米国価格 | 実質ドル円 =日/米価格 | ドル円※2 |
---|---|---|---|---|
MBP Mid2014 2014/7/29 | 175,800 円 | 1,799 ドル | 97.7 円 | 101.9 円 |
MBP Mid2015 2015/3/9 | 208,800 円 | 1,799 ドル | 116.1円 | 120.8 円 |
MBP Late2016 2016/10/28 | 198,800 円 | 1,999 ドル | 99.5 円 | 105.2 円 |
MBP Mid2017 2017/6/8 | 220,800 円 | 1,999 ドル | 110.5 円 | 110.0 円 |
MBP Mid2018 2018/7/11 | 220,800 円 | 1,999 ドル | 110.5 円 | 110.9 円 |
MBP Mid2019 2019/5/21 | 220,800 円 | 1,999 ドル | 110.5 円 | 110.2 円 |
MBP Mid2020 2020/5/4 | 220,800 円 | 1,999 ドル | 110.5 円 | 107.3 円 |
MBP M1, 2020 2020/11/10 | 154,800 円 | 1,499 ドル | 103.3 円 | 105.2 円 |
2014年から2020年までは,仕様に大きな変更があった時以外はアメリカでの販売価格は一定です。
アメリカ価格の2回の変更は,
Late2016の値上げ:TouchBar搭載
Late2020の値下げ:自社開発CPUへの変更など
が影響していると思われます。
また,たしかに日本での販売価格は,アメリカ価格に変更がなくても変わっている場合があることがわかります。
「日米の販売価格より算出した実質ドル円」と「実際のドル円」の関係は下の図のようになります。
おおまかに,実質ドル円は実際のドル円に連動していることがわかります。
ただし,ドル円が急に変化している場面では販売レートの修正が間に合っていない感じですね。
MacBook AirとiPhoneも加える
さて,同じことをMacBook AirとiPhoneでもやってみましょう。
モデルなど 大体の発売日 | 日本価格 (税別) | 米国価格 | 実質ドル円 =日/米価格 | ドル円 |
---|---|---|---|---|
MBA Early2014 2014/4/29 | 118,800 円 | 1,199 ドル | 99.1 円 | 102.12 円 |
MBA Early2015 2015/3/10 | 136,800 円 | 1,199 ドル | 114.1 円 | 121.47 円 |
MBA Mid2017 2017/6/7 | 118,800 円 | 1,199 ドル | 99.1 円 | 109.53 円 |
MBA Retina, 13-inch, 2018 2018/11/7 | 156,800 円 | 1,399 ドル | 112.1 円 | 113.15 円 |
MBA Retina, 13-inch, 2018 2020/3/18 | 134,800 円 | 1,299 ドル | 103.8 円 | 107.46 円 |
MBA M1, 2020 2020/11/17 | 129,800 円 | 1,249 ドル | 103.92 円 | 104.46 円 |
モデルなど 大体の発売日 | 日本価格 (税別) | 米国価格 | 実質ドル円 =日/米価格 | ドル円 |
---|---|---|---|---|
iPhone6 16GB 2014/9/19 | 67,800 円 | 649 ドル | 104.47 円 | 108.9 円 |
iPhone7 32GB 2016/9/16 | 72,800 円 | 649 ドル | 112.17 円 | 102.0 円 |
iPhone8 64GB 2017/9/22 | 78,800 円 | 699 ドル | 112.73 円 | 112.3 円 |
iPhoneXR 64GB 2018/10/26 | 84,800 円 | 749 ドル | 113.22 円 | 112.4 円 |
iPhone11 64GB 2019/9/20 | 74,800 円 | 699 ドル | 107.01 円 | 108.1 円 |
iPhone12 64GB 2020/10/23 | 85,800 円 | 799 ドル | 107.4 円 | 104.7 円 |
こちらについても,MacBook Proと同じような傾向ですね。
結論
MacBook Pro, MacBook Air, iPhoneをまとめると,下の図のようになります。
今までのものを重ねただけなので,同じ傾向であることは明らかです。
ただし,2017年6月のMacBook AirとProのように,同じ時期に発売された製品でも実質ドル円に大きな差があることもあるようです。
これは…,なぜかはわかりません(笑)
戦略的な意味合いかもしれませんし,とくに理由はないかもしれません。世の中はそういうものです。ただ,事実があるだけです。
以上より,結論は次のようになります。
- 販売価格の実質ドル円(=日本価格/米国価格)はドル円に連動
- 実質ドル円は,発売日より少し前のドル円に近い
ただし「Xヶ月前と近い」と決まっているわけではない - 同じ時期に発売された製品でも実質ドル円が大きく違う場合がある
以上です!ありがとうございました。
<余談>
「いつPCやスマホを買い換えるか?」は人それぞれですが,わたしは今の環境をストレスと感じたら買い替えどきという考えです。
円安だろうが円高だろうが,違いは1-2万円程度。もちろん小さな金額ではありません。しかしながら,作業効率を考えると仕方がない出費。今の環境が本当に不便なら円安円高は気にしないことにしています。
ただし,新モデルが発売すると,必要がなくても欲しくなるもの(笑)
そんな時には,今は円安だから買わないんだ!と自分に言い聞かせることもあります。
脚注
※1 発売日はググって出てきたものを採用しています。日米で発売日がずれていたり発売日か発表日か定かでないものもあるので「大体の」としています(数日の違いであればこの記事で行う検討に支障はないので厳密には調べていません)。
※2 ドル円はみずほ銀行のデータを利用しています。このデータは休日分は含まれていないので,休日は前後の値を採用しています。